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仙台高等裁判所 昭和40年(ネ)347号 判決

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は、控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は、「原判決を取り消す。控訴人と被控訴人らとの間において、控訴人が原判決添付第一目録記載の土地につき使用収益権を有することを確定する。被控訴人日本電建株式会社は、原判決添付第二目録(一)記載の建物を、被控訴人藤川富久は、同目録(二)記載の建物を、被控訴人早川広俊は、同目録(三)記載の建物をそれぞれ収去し、その敷地たる原判決添付第三目録記載の土地(被控訴人日本電建株式会社は、同目録(一)記載の土地、被控訴人藤川富久は、同(二)記載の土地、被控訴人早川広俊は、同(三)記載の土地)をそれぞれ明け渡せ。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決および右収去・明渡につき仮執行の宣言を求め、予備的請求として、「控訴人が原判決添付第四目録記載の土地のうち二九坪四合の範囲につき使用収益権を有することを確定する。被控訴人らは、控訴人に対し右二九坪四合につき分割手続をせよ。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、被控訴人らの各代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張および証拠関係は、控訴代理人において後記被控訴人日本電建株式会社の主張事実を否認すると述べ、被控訴人日本電建株式会社の代理人において、訴外樋口喜一郎は、控訴人主張のE土地四一坪二合四勺を訴外金萢喜助に売り渡した事実はなく、したがつて、控訴人は、同人から右土地を買い受けたとしてもこれが所有権を取得するに由なかつたものである。右土地につき昭和三四年九月二五日なされた所有権移転登記は、樋口が釜萢に対し右土地を担保に金融方を申し入れたところ、釜萢は、ほしいままに自己名義に所有権移転登記をしたものであると述べ、証拠として、控訴代理人は、甲第一八号証の一ないし三を提出し、当審証人山本和夫、北沢行雄の各証言を援用し、乙第四号証、第五号証の一、二の成立は不知、第五号証の三ないし六の成立を認めると述べ、被控訴人日本電建株式会社の代理人は、乙第四号証、第五号証の一ないし六を提出し、乙第四号証は、昭和四一年八月被控訴人日本電建株式会社青森営業所および隣接建物を撮影したものであると述べ、甲第一八号証の一ないし三の成立を認めて利益に援用し、原審提出にかかる甲第一〇号証の認否を訂正し、その成立を認めて利益に援用し、同じく甲第一四号証の一、二の成立を認め、同じく甲第一五号証の二を利益に援用すると述べ、被控訴人藤川および同早川の代理人は、甲第一八号証の一ないし三および原審提出にかかる甲第一四号証の一、二の成立を認めたほかは、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

理由

控訴人の本訴請求の失当であることは、原審がその資料としたすべての証拠によつて認めた事実により、かつ原審の説示と同一の理由に基づいてこれを認めることができるから、原判決の理由記載をここに引用する。控訴人が当審で新たに提出援用した全証拠によるも、右認定を覆し、控訴人主張事実を認めることができない。

よつて、右と同趣旨に出た原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないので、民事訴訟法第三八四条、第九五条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

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